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2024年4月7日DEEP☆KICK ZERO 12レポート

■主催:DEEP☆KICK実行委員会
■名称:DEEP☆KICK ZERO 12
■日時:2024年4月7日(日)
■会場:176box
■住所:大阪府豊中市庄内東町5丁目7-25

写真提供:石本文子、レポート提供:布施鋼治

メインにDEEP☆KICK初の覆面キックボクサーが登場すれば、セミにはデビュー以来6戦全勝(6KO)と無敗の快進撃を続ける中嶋愛樹斗が参戦するなど話題満載の『DEEP☆KICK ZERO 12』は4月7日、大阪豊中市の176BOXで午前11時から行なわれ、前座のNEXT☆LEVEL提供試合(アマチュア)から熱戦が繰り広げられた。

メインイベント DEEP☆KICK-55kg挑戦者決定トーナメント準決勝 3分3R 延長1R

◯保井広輝(WARRIOR OSAKA)
×マスク・ザ・HKA(H・K・Agym)
判定3-0(30-28、29-28、30-27)
※バッティングにより保井が続行不可能に、3R41秒までの判定となる。
※保井広輝が-55kg挑戦者決定トーナメント決勝に進出する。

かつてDEEP☆KICKのルーツであるMMA主体の格闘技イベント『DEEP』にはドス・カラスなどメキシコの覆面レスラーがマスク姿のまま上がったことがある。そうした歴史があるせいか、DEEP☆KICKにもついに覆面キックボクサーが上がることになった。
その名はマスク・ザ・HKA(H・K・Agym)。所属はH・K・Agymで、通算戦績は24戦13勝(9KO)11敗という情報以外は一切明かされていない。ただ、噂によると、RISEにも上がったことがあるという。
そんな正体不明のマスクマンとDEEP☆KICK-55㎏挑戦者決定トーナメント準決勝を争うことになった保井広輝(WARRIOR OSAKA)はKrashを主戦場とする選手で、昨年12月すでにDEEP☆KICKでのデビュー戦を白星で飾り、今回のチャンスを得た。
試合開始直前になると、マスク・ザ・HKAは「俺はイロモノやない」という宣言通り、サッとマスクを脱いだ。その正体は腕に彫られたタトゥーからも、関西キック界では名の知れたMHのように見えた。
もっとも保井にとっては相手がマスクマンだろうと素顔だろうと関係ない。勝って中嶋愛樹斗(誠剛館)が待つ決勝へと駒を進めるしか頭になかった。1Rからスピーディーなワンツーを矢継ぎ早にヒットさせる。
対するHKAはローキックで対抗しようとするが、いまひとつリズムや距離を掴めない様子だ。チャンスと見た保井は左ボディアッパーをヒットさせ、下がったところに左ストレート。その後、強烈なワンツーを放つと、HKAのアゴが上がる場面もあった。
2Rになっても、保井はパンチを主体に攻撃を仕掛ける。終盤、HKAはミドルキックをクリーンヒットさせ一矢を報いるが、1Rに続き保井のラウンドだった。
案の定、2Rまでのオープンスコアは20-19(二者)、20-18と3者とも保井を支持していた。3R、もうあとがないHKAは残る力を振り絞るかのようにワンツーを中心に前に出るが、焦りもあったのだろう。バッティングによって保井を出血させ、試合続不可能に追い込んでしまった。さらにその直前の掴みでレッドカード(減点1)ももらってしまうなど踏んだり蹴ったり。結局、勝負は負傷判定で裁かれることになり、29-28、30-28、30-27と三者三様ながらみな保井を勝利を支持した。
試合後、セミファイナルでもう一方の同級トーナメント準決勝を勝ち進んだ中嶋愛樹斗もリングイン。「今日は自分の反省点がいろいろ見つかったので、6月の決勝までにレベルアップして、保井選手を圧倒できるくらい強くなる」と宣言した。
中嶋の発言を受け、保井は「今日はKOで勝ちたかった」とポツリ。しかしながら、その口調からは決勝戦こそKOで決めてやるという決意が見え隠れしていた。
暫定王者・真琴(NJKF誠輪ジム)との正規王者決定戦に駒を進めるのはどっちだ!?

セミファイナル DEEP☆KICK-55kg挑戦者決定トーナメント準決勝 3分3R 延長1R

◯中嶋愛樹斗(誠剛館)
×井上大和(NJKF TOKEN KICKBOXING GYM)
判定3-0(29-27、29-27、29-27)
※中嶋愛樹斗が-55kg挑戦者決定トーナメント決勝に進出する。

中嶋愛樹斗(誠剛館)と井上大和(NJKF TOKEN KICKBOXING GYM)は昨年6月の「DEEP☆KICK 66」で初めて拳を交わし、中嶋が2RTKO勝ちを収めている。
その後も誠剛館では長谷川海翔(誠剛館)に続くスーパールーキーは連勝を重ね、この日を迎えるまで6戦6勝(6KO)という驚異のレコードを残していた。
しかし、DEEP☆KICK生え抜きの井上にも意地とプライドがある。「前回とは違うところを見せ、今回は僕が勝つ」と宣言していた。その気持ちは1Rから如実に現れる。試合が始まると、井上はいきなり左フックをヒットさせるなど先手必勝とばかりに攻め込む。熱くなった中嶋が打ち合いに応じると、セコンドから「落ち着いて」という指示が出るほどだった。
その言葉を受けた中嶋は冷静にロー、ボディフックを叩き込んでいく。2Rに入ると、いきなり右ストレートをクリーンヒットさせ、井上から先制のダウンを奪った。
しかし、ここからの井上の巻き返しは凄まじかった。バッティングもあり、中嶋が鼻血を出したせいもあったかもしれないが、相手の右ローに合わせ、左フックを決めるなど試合を再びシーソーゲームに持ち込んだのだ。
3Rになると、井上がリング中央を陣取り、試合を支配する時間が長くなり、2分30秒すぎには右ストレートをヒットさせた。
判定は3-0と中嶋の判定勝ちに終わったが、3Rは井上のラウンドだった。これでレコードを7戦全勝に伸ばした中嶋だが、連続KO記録は途絶えてしまった。その原因は中嶋の出来がいまひとつだったのではなく、井上が成長していたからだろう。大会主催者も「敗れた井上選手にも次のチャンスをあげたい」と褒めちぎっていた。

第8試合 DEEP☆KICK-58.5kg契約 3分3R

第8試合 DEEP☆KICK-58.5kg契約 3分3R
△麻太郎(NJKF健心塾)
△勇志(テツジム関西)
判定1-0(28-28、29-28、28-28)

DEEP☆KICK-57.5kgのランキングで4位につける麻太郎(NJKF健心塾)がテツジム関西の勇志(テツジム関西)と激突した。ケガをしているのだろうか、勇志は右足のかかとの部分をテーピングでガッチリ固めてのリング登場だ。
1R終了間際、麻太郎は右ストレート一閃。この一撃をもろに受けた勇志はストンと落ちるようにダウンを喫した。これで麻太郎のKO勝ちは時間の問題かと思われたが、2R以降の勇志のガッツには凄まじいものが感じられた。左ミドルをヒットさせながら、試合のリズムを掴む。クリーンヒットこそなかったが、再三放っていたバックブローからも逆転の執念が感じられた。
案の定、2Rまでのオープンスコアは三者とも19-18。その勢いのまま、勇志は3Rもガツガツと攻め込み、1-0(麻太郎)の引き分けに持ち込んだ。勇志のガッツが賞賛される一方で、麻太郎の気持ちに課題が見えた一戦となった。

第7試合 DEEP☆KICK-63kg契約 3分3R

◯山本槻(NJKF TOP GUN GYM)
×白衣の戦士 藤田(FightClubRush.)
判定3-0(29-27、29-28、29-27)

昨年7月のRISE大阪大会でデビューした山本槻(NJKF TOP GUN GYM)がDEEP☆KICKでもデビュー。同じくデビュー戦となった白衣の戦士 藤田(FightClubRush.)とぶつかった。関西には、なぜか、この手のリングネームが多い。
1R、身長で藤田より12㎝も高い山本はその身長差を活かした右ストレートで早くもダウンを奪う。しかし現DEEP☆KICK王者である足利也真登(FightClubRush.)がプレーイングマネージャーを務めるFight Club Rush.では足利に続くプロである藤田はタフ。2Rになると、コツコツとローを当て続け、ラウンド終了間際には右ストレートをヒットさせ、場内をどよめかせた。続く3Rも本職は薬剤師という藤田はコーナーに山本を詰め、右フックをヒットさせるなど攻勢に出て必死に追い上げる。その頑張りは観客の心をしっかりと掴み、試合終了のゴングが鳴ったときには四方から温かい拍手が沸き起こった。
とはいえ、ジャッジは山本が奪ったダウンを支持し、29-28、29-27、29-27のスコアで山本がうれしいプロ初勝利を収めた。

第2試合~第6試合 NEXT☆LEVEL提供試合

前座ではTOP☆RUN関西ジュニア王座をかけたアマチュアのタイトルマッチが3試合組まれた。中でも山下夢歩(LEGEND GYM)vs根本日向(TEAM LIGHT)による-50㎏王座決定戦はプロ顔負けのテクニカルな攻防の末、首相撲からの崩しや左ミドルに冴えを見せた山下が3-0で勝利を収め、同王座を奪取した。まだ15歳、将来が末恐ろしい存在だ。

第6試合 TOP☆RUN関西ジュニア-50kg王座決定戦 1分30秒3R 延長1R

◯山下夢歩(LEGEND GYM)
×根本日向(TEAM LIGHT)
判定3-0(30-28、30-29、30-28)
※山下夢歩がTOP☆RUN関西ジュニア-50kg第25代新王者となる。

第5試合 TOP☆RUN関西ジュニア-40kg王座決定戦 1分30秒3R 延長1R

◯富山温陽(月心会チーム侍)
×赤坂來依(LEGEND GYM)
※2R途中、赤坂の顔面ヒザにより富山が続行不可能に、富山の勝利、赤坂の反則負けとする。
※富山温陽がTOP☆RUN関西ジュニア-40kg第24代新王者となる。

第4試合 TOP☆RUN関西ジュニア-30kg王座決定戦 1分30秒3R 延長1R

×福島聖弥(Determination)
◯辻畑陽気(Determination)
判定0-3(28-30、29-30、28-30)
※辻畑陽気がTOP☆RUN関西ジュニア-30kg第25代新王者となる。

第3試合 NEXT☆LEVEL提供試合 -35kg契約 1分30秒2R

×橋本大和(一心会)
◯柚山望大(魁塾 中川道場)
判定0-2(19-20、19-19、19-20)

第2試合 NEXT☆LEVEL提供試合 -55kg契約 1分30秒2R

×土橋颯斗(一心会)
◯長崎大己(ビンチェレあべの)
判定0-3(20-19、20-19、20-19)

第1試合 RISE公式戦-52kg契約 3分3R

◯HOTARU(Continue)
×美凪(TeamFreeStyle)
判定3-0(30-26、30-26、30-26)
※計量オーバーの為、美凪に減点2とグローブハンデ有。

第1試合にはHOTARU(Continue)vs美凪(TeamFreeStyle)という女子キックが組まれたが、前日計量で美凪は3.65kgの体重オーバー。本人のプロとしての自覚とジムの管理能力が問われる大幅なオーバーとなったため、両陣営と主催者の協議の結果、美凪に減点2とグローブハンデを与えたうえで試合は実施されることになった。勝利はHOTARUが勝ったときのみ成立し、美凪が勝った場合には無効試合となる。
HOTARUのコンディションは上々で、1Rから右ローを効かせていく。そして相手の意識が下に行ったときにハイを打ち込み、美凪をグラつかせる。2RになってもHOTARUの攻勢は続く。再びローを打ち込まれると、美凪は明らかに嫌がる素振りをみせた。続く3R、HOTARUは痛烈なパンチで美凪を再びグラつかせ、勝負を決定づけた。ジャッジは三者とも30-26でHOTARU。これでDEEP☆KICKでは4戦全勝。まだキャリアは浅いが、華はある。関西女子キックを代表する選手に成長するか。

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