神戸在住の高校生ファイター、KING陸斗(17歳)=ROYAL KINGS=が勝負に出る。12月14日、″格闘技の聖地″東京・後楽園ホールで開催のRISE194でベテランの実力派・麗也(30歳)=team AKATSUKI=との一騎討ちが決まったのだ。現在の目標は来年にも現在空位(※前王者は那須川龍心)のRISEフライ級王座を獲得すること。その第一ステップとして絶対落とせない一戦だ。
記事・写真:布施鋼治、試合写真:池田博紀、プロフィール写真:DEEP☆KICK事務局
現在、陸斗は通信制のN高等学校に通う3年生。格闘技との付き合いは空手から始まった。「お姉ちゃんが通うということで、無理やり連れていかれる感じでした(微笑)」
自分の意志ではなかったので、長く続くわけがない。7歳のとき、母が始めたママさんキックについていくと、子供ながらに面白さを感じたので、そこでキックを始めた。ところが、そこの空気に馴染めなかった。そうした矢先、ROYAL KINGSがジュニアクラスを創設するという話を聞きつけ入会する。
「僕は一期生で二番目に入ったんですよ」
代表の藤原康平氏は当時まだKING皇兵のリングネームで東京にも遠征して闘っていた。
──何度も喋ったらいい人だとわかるけど、見た目だけで判断するなら結構なコワモテ。怖くなかった?
「ホンマ、ちっちゃい頃は怖かった。もう喋ることすら怖いくらいで(微笑)。当時と比べたら、会長はめっちゃやさしくなったと思います」
それでも、辞めるという選択肢はなかった。「だって会長はお父さんみたいな感じで、子供の僕の世話もいろいろしてくれたので」
アマチュア大会には小3から出始めたが、数年間は全くといっていいほど結果が出なかった。「本当に全く勝てなかったですね。ジュニア時代は負けまくっていました」
キックを始めても、痛いのが嫌いという性格は治らなかったのだから無理もない。
「自分から攻撃するのも怖かったりしていましたね。試合になると、勝ち切れなかった」
小6になってから、陸斗はようやく白星を挙げることができるようになった。
「それからですね。試合をするのが楽しくなってきたのは。それからより真剣に練習するようになっていった感じです」
子供は何か打ち込めるものができたら思い切り集中して一気に飛躍できるタイミングがある。このときの陸斗はまさにそうだった。「勝ち出してからは、プロ練(基本、プロを対象とするハイレベルな練習)にも混ぜてもらったりしました。毎日ボコボコにされる感じでしたね(苦笑)」
プロ練に参加しているとはいえ、まだ小学生。当然加減してくれる者もいたが、「プロ練に出ている限り甘やかすな」と陸斗を蹴りで吹っ飛ばす者もいた。
「少しでも痛い攻撃をもらわないためにはどうしたらいいか。子供ながらにいろいろ考えていましたね。それがいまのスタイルにつながったんだと思います」
いまのスタイルとは、ステップワークを駆使した打たせずに打つ戦法を指す。それは「痛いのは嫌い」という性格を逆手にとったものだった。そして高1のとき、KING陸斗のリングネームでデビューを果たす。
闘いの舞台は23年4月大阪・176BOXで開催されたDEEP☆KICK ZERO 07。まだ15歳の高1だった陸斗は無難に判定で勝利を収めるが、反省や課題ばかりが見つかる一戦だった。
「その頃は動いて動いて、当ててまた動くみたいなスタイルだった。でも、それでは上には勝てない。何か攻撃を当てしっかり倒す、あるいは効かす。そういうことを意識し、当たり負けしないようなスタイルを模索するようにしました」
その後4連勝をマーク。5戦目には安尾瑠輝(K-1ジム心斎橋チームレパード)との間でDEEP☆KICKフライ級王座を争うチャンスを得た。しかし、安尾のハイキックの前に2R失神TKO負け。意識を取り戻したのは、控室に戻ってからだった。
「練習でも意識が飛んだことはなかったので、もう初めての感覚でした。控室で『あれ?、試合は!?』みたいな感じで、全然試合をやったことを覚えていなかった。時間が経つにつれ、いろいろ思い出してきましたけど」
落ち込まなかったといったら嘘になるが、それ以上に陸斗は「もっと考えて闘わないといけない」という結論に達した。
「やっぱりステップを踏むだけではなく、時には圧をかけたり、自分から展開を作っていくように心がけるようにしました」
努力の甲斐あって、24年9月には一樹(Reborn kickboxing gym)との2度目の対戦を制し、第4代DEEP☆KICK-51kg王者に就く。そして今年11月3日には地元神戸で開催のRIZIN LANDMARK12への出場を果たし、本戦第1試合でONE Championshipでも勝利を収めている水野夢斗(TEAM TEPPEN)と激突した。
身長やリーチでは水野にアドバンテージがあったが、陸斗はそのハンディをものともしなかった。フックやストレートを振りながら懐に入り、左ストレートで先制のダウンを奪う。さらに連打をまとめて2度目のダウンをとる。なんとか試合を続行した水野だったが、陸斗は攻撃の手を緩めず左ストレートで引導を渡した。試合後、ケージの中でマイクを握った陸斗は開口一番叫んだ。
「どうですか? 面白かったですか?」
試合順は第1試合。会場の空気を温めるには最高の試合内容だったといえるだろう。
「水野選手は普通に強いと思っていて、向こうがデビューしたときからいつかは当たるだろうと予感していました。コーナーがないので、ケージでの闘いはムチャクチャ闘いやすかったですね」
その勢いで陸斗は今回の麗也戦に臨む。
「今年に入ってから僕はずっと麗也選手とやりたいと言っていたので、たぶん交渉してくれていたんだと思います。現在のランカーの中で麗也選手は唯一のベテラン。絶対他の選手にはない強さがあると思う。そういう選手に勝てば、自分の自信にもつながる」














































