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西日本格闘漫遊記(東日本出張版)第5回「来るべき再起戦のために UFCファイター 鶴屋怜(THE BLACKBELT JAPAN)」

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記事・プロフィール写真:布施鋼治、グローブ写真:THE BLACKBELT JAPAN

布施氏がファイターズスピリッツマガジンで連載している西日本格闘漫遊記の出張記事となる東日本出張版は、格闘技一家が輩出したMMAのサラブレットファイター、鶴屋怜にてお送りします。
「生まれたときから格闘技しかやっていないですから」

鶴屋怜(23歳)=THE BLACKBELT JAPAN=は格闘家としての人生に運命めいたものを感じている。「自分は勉強もできないし、球技もめちゃくちゃヘタ。格闘技以外の選択肢はなかったですからね」
父・鶴屋浩は総合格闘技の黎明期に活躍した元祖MMAファイターというべき存在で、現在はTHE BLACKBELT JAPANの代表を務めている。次男・怜も含め、子供たち4名はいずれも格闘技に携わっている。長男・健人は怜と同じMMAファイターで、三男・浩斗は先日プロレスリング・ノアでデビューしたばかり。四男で高校生の玲央はアマチュアボクサーとして活動中だ。

いわゆる格闘一家といっていいが、怜は「長男と僕以外はみんな違う競技をやっているから、それも面白いのかなって」と話す。
「兄弟が同じ道ではなく別の道だから。例えば僕は今までプロレスを見ることはほとんどなかったけど、浩斗がデビューしたら、Xのタイムラインにもめくちゃちゃプロレスの情報が流れてくるようになった」
MMAをやるようになったきっかけは、中学2年のとき、UFC189(2015年7月11日)のコナー・マクレガーとチャド・メンデスによるUFC世界フェザー級暫定王座決定戦。2R、左ストレートからのパウンドでTKO勝ちを飾ったマクレガーの勝ちっぷりを目の当たりにして「すげぇ」と体中に電流が走ったことだった。「本当は高校も行かないで、中学を卒業したらMNMAをやりたいと思っていました。でも…」
性急な行動をしようとする息子に、父・浩さんは「高校を卒業してからでも遅くはない」と待ったをかけた。結局、3歳からやっているレスリングを活かし、自宅から近い高校レスリングの名門・日体大柏高校に入学した。
「家から10分なので僕は通いでしたけど、何指導がめっちゃ厳しかったんですよ。試合になったら、ひとつのミスも許されない。肉体的にも精神的にも相当鍛えられました」
高校で同期の田南部魁星(ミキハウス)は3年連続全日本選手権・男子フリースタイルで優勝するなど、第一線で活躍中。同期の活躍が刺激にならないといったら嘘になる。
「魁星とは小学校のときから何度も闘っているので頑張ってほしい」
刺激をもらっているのは田南部だけではない。THE BLACKBELT JAPANの同門で昨年大晦日にRIZINフライ級王者になった扇久保博正が得意とする″塩漬け″スタイルにも大いに興味を抱く。「本当に勝ちにこだわるのであれば、極めないというのも選択肢のひとつ。極めに行くと疲れますし。極めないのではなく、ある程度そういうスタイルを身につけ、最後に極めにいくのも理想かなと」

同門といえば、現在鶴屋と同じUFCに参戦中でタイトル挑戦の一歩手前までこぎ着けた平良達郎の存在も無視することはできない。この沖縄の星をライバル視する鶴屋は「負けられないっすね」と静かに闘志を燃やす。「前回の試合で自分が負け、まわりから『大丈夫か?』と心配されているかもしれないけど、僕は前回の試合で現チャンピオンに負けただけなので」
26年2月の時点で鶴屋の最後の試合は2025年3月8日開催のUFC313でのジョシュア・ヴァン戦。この一戦はUFC史上初の2000年代生まれ同士の対戦ということでも話題となったが、鶴屋は0-3で敗北を喫した。その勢いでジョシュアは2025年12月6日に長らくUFCフライ級王者に君臨していたアレッシャンドリ・パントージャを1ラウンドTKOで撃破。ミャンマー生まれの選手として初めてUFC王者となった。
決まり手はパントージャが受け身を失敗して左ヒジを脱臼したためのレフェリーストップ。実力より運が勝負を左右した一戦といえるが、鶴屋は勝負事である格闘技に「運も大事」と肌で感じている。「平良君がタイトルに挑んだあと、(結果がどうであれ)俺が挑戦することができたら、自分が運を持っていたことになる。そこはまだ全然諦めていない」
そういう意味でいうと、2025年の鶴屋はそれほど運を持っていなかったといえるだろう。昨年8月22日に予定されていた試合は直前に負った目のケガが原因でキャンセルとなり幻の復帰戦になってしまったのだから。鶴屋は「結局、去年は一戦しかできていないし、その試合も負けている」と唇を噛んだ。「それにケガも多くて、自分としてもそんなにいい1年だったとはいいがたい。今年は気持ちを切り換えていきたい」
幸い目のケガは完治。他の小さなケガも「ほぼバッチリ」といえるほどよくなった。「いつでも試合ができるようにコンディションを体調を整えています」
老婆心ながら、試合が決まっていないのに、練習を続けるのは精神的にきついときもあるのでは?
「確かにそうですね。試合が決まっていた方がモチベーションは上がりますからね。でも僕は試合がないときの練習もめっちゃ好き。ケガとかも気にしないで、思い切りできるじゃないですか」
現在はベースとなるレスリングのタックルをより活かすための打撃を意識して取り組んでいる。「サンドバックを相手にバンバンやるのではなく、テイクダウンにつなげられるような打撃を多めにやっている感じです。中にはレスリングが強くてもMMAに適していない人もいれば、ボクシングが強くてもMMAにそうでない人もいるじゃないですか。ひとつの攻撃が強くても、何かにアジャストさせないと、その技術をMMAでは使いこなせない。そういうことを前提にMMA全体を強めている感じですね」
じっくりと体力を蓄え、スキルを磨く時期があってもいい。昨日より今日の自分の方が強い。来るべき再起戦のために、格闘一家の成長株は今年に入ってから元旦と日曜を除き、黙々と練習を続けている。

プロフィール

リングネーム:鶴屋怜
生年月日:2002年6月22日
出身地:千葉県松戸市
身長:168cm
所属:THE BLACKBELT JAPAN
プロ通算戦績:11戦10勝1敗(4KO、4一本勝ち)

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