2022年9月11日平直行 『誰も知らない達人術』出版記念!京都 旧武徳殿セミナーレポート

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■主催:小松広明
■協力:平直行『誰も知らない達人術』京都セミナー事務局、SAMURAI METHOD やわらぎ
■名称:平直行 『誰も知らない達人術』出版記念!京都 旧武徳殿セミナー
■日時:2022年9月11日(日)
■会場:旧武徳殿(京都市武道センター敷地内)
■住所:京都府京都市左京区聖護院円頓美町46-2京都市武道センター

2021年に続き、今回も明治32年に建てられ日本最古の武道場である旧武徳殿で開催され、平氏の新しい著作『誰も知らない達人術』出版記念セミナーの開催地として雰囲気があり、絶好の会場と言えるだろう。
参加者の年齢層は、幅広い層であったが、年配層の割合が多く、これらの平氏のセミナーで自身が抱える身体の不調を少しでも改善できる体験を得る為に集ったと思われる。平氏は常に笑顔で場を盛り上げながら、楽しいムードでセミナーが行われ、平氏の人徳が感じられた。

まず平氏が語ったのは術と技であり、同じ技でも見えないのが術であると説いた。命と言えば単純に言えるが、それは見えない物である。昔の人たちは、その関係性を分かっており、それを東洋では陰と陽と表現した。
平氏は身体を健康にする為には、無意識が重要と何度も説いた。アマゾンなどの先住民は、120歳まで生きる事ができ、死ぬ寸前まで健康に動け、現代の生活の様に寝たきりで動けない生き方とは対照的である。
平氏は読書の知識の得かたにも語り、歴史なども現代人は試験対策の為、暗記で覚える。しかし、それらの本質は、当時を生きた先人たちの知恵を学び、それらに浸り、そこから自身が生きる為の指標として得るのが正しい知識の得かたであると語った。稽古にもおいても見る事が重要であり、格闘技においても強い選手とは見る事で学ぶ事が出来る。武道においても、見取り稽古とあるが、平氏はそれらを自身の経験で学び、それらをセミナーにて口伝で伝えようとしているのが伝わった。
武術とは、人間の身体の力を引き出すためと考察しており、昔の人たちは自然の中で生きており、それらの自然の中で生きる一番良い姿勢を自然と身体は行う。それらは無意識の反応であり、人間とは環境に置いて一番楽な姿勢を出す生き物である。全力を出すと怪我をしたり、早死にする。無意識の反応こそが、人間の奥の力を引き出す身体のツールである。
そして平氏のセミナーで毎回面白く感じるのは、人間は動きの制限が掛かる時こそ、身体の動きが出るである。平氏は何度も言うが、自身が学んだ事を、知識としてでしか与える事が出来ない。しかし、それらを学び考える事で、自身の知恵として昇華出来る。
それらの身体の反応だが、頭に手を置く、腰に指を当てるなどで、身体の動きが良くなる。これらも空手の形になどに置いても、正拳突き一つでも、それらの反応を引き出す工夫が凝らされており、過去の福岡セミナーでは、平氏は、だから、空手の流派において、形が違う、それは、創始者が一番身体の反応を引き出せる動きを流派の形としている為だ。と語っていた。

それらの動きを行う事で、身体の反応で神経が通り、内側が強くなる。そして平氏がコロナ禍において、マスク生活が強いられているが、マスクで呼吸に制限が掛かり、それらのデメリットとして細胞レベルで身体が落ちる。これらは医学的にも立証されており、本来は呼吸とは鼻でする物である。鼻が呼吸器官であり、口で呼吸するのは本来の姿ではない。
人間の動きにおいても、口の呼吸では力が出ない。それらから全てにおいてパフォーマンスが落ちる。鼻で呼吸は力が出る。武術的にも人間の力が出るのが、無意識の中である。無意識とは感じない事であり、スッスっと動けることが一番良い動きであり、人間が感じる時は、身体の駄目な個所である。人間の本能の動きが、身体の力が抜けており、一番良いパフォーマンスを引き出せる。
奥から繋げる事が出来れば、力を引き出せる。それを簡単に参加者が体験出来たのは、肩を摘むだけで、身体の可動域が開く、姿勢を良くするだけで相手を崩せるなど、多岐に渡り、平氏が蹴りなども、武術的な動きを入れるだけで破壊力が格段に上がる等を参加者の多くが感嘆していた。
恐らく、平氏は現在でも、武術でなく純粋な格闘技ルールに置いても1分2ラウンドなどの短い時間であれば、並大抵のプロ選手を遥かに凌駕出来る実力を持っていると思われる。
平氏が、それらの身体の反応について語ったのは、見えない世界では、言葉も大切。言葉は感情であり、それらの感情を表現する為に、地域ごとに方言が成り立ったのでないかと語った。

武術に置いても、柳生心眼流は騙し討ちの技を使い、グレイシー柔術はスポーツ的な格闘技の世界でギリギリな動きを使う。それらの動きに置いて、内側が強くなれば身体は強くなり健康に良い。だから歴史のあるスポーツの動きは身体に良く、総合格闘技の動きも身体に良く。お腹の力が出せる様になると普段が楽になり、長生きが出来る。
それらで語ったのは長い息は長生きであった。浅い呼吸では駄目であり、スッスっと動ける呼吸をしなければならない。
平氏が多くの選手に問われたのが、格闘技の試合でラウンド中に呼吸は元に戻るかであるが、答えは出来ない。だからラウンド中に疲れない身体の動きをし、絶対に近い動きで倒すのが格闘技であると説いた。呼吸と姿勢など力を出す動きを他人に教わらず自身で出来るのはセンスであり、それがプロ格闘家、ひいてはチャンピオンである。
身体の原理は一つであり、技は無限。グレイシー柔術などのスタンドアップなど、動きなども先人たちの培った動きが取り入られている。
平氏は今日、原理をレクチャーするが、それらの学んだ事を自身で反復し、形にしようする。それが練習であると説いた。
呼吸について語ったのは、猫は呼吸で吸った瞬間に動ける。格闘技でもプロは動きながら呼吸が出来る。口での呼吸では力は出ない、口での呼吸などは驚いた際に行っており、その時、力は出ない。柔らかい動きは強く、息が長いと良い状態になる。
鼻で息を吸い、動く時に吐くが最高のパフォーマンスを引き出せ、それらの呼吸を行う方が健康にもなれる。
これらは教えても、中々出来ないが、それが出来る様になるとプロ格闘家になれる一歩である。
その中で当日はアンディ・フグ氏の墓参りに開催前に行われ、そのアンディ氏の思い出で、ローを蹴られると足が痛いのでなく、頭が痛くなったと語った。恐らく、本能が危険信号を発しただろうと語った。

柔らかい動きについてだが、平氏は皮絡、筋絡、骨絡であるが、骨絡が出来る為に、皮絡出来ないといけない。そして、これらで患者を治す際には、施術者も健康でないと駄目であると説いた。皮絡を殺法で用いる時は、相手の皮膚をずらすだけで、相手を崩せる。逆に活法で用いる時は、相手を治すことが出来る。武術が陰と陽と言われることが良く分かる事である。これらの皮絡が使えるプロ格闘家は打撃でも相手の皮膚を抜いている。
足から動く、原理は一つで良い状態になる為である。それらの原理は経験を重ねないと得られないが、知恵として覚えて欲しいと、平氏は何度も説いた。柔術などは骨まで動かす物であり、次の筋絡では、固いところを柔らかく触れる、それら首を倒しながら触ると肩凝りの個所が出て来る。更に平氏が見せたのは、相手の肩を崩す動作を繰り返すと、術を掛けられた方は肩が良くなった。これらの身体の無意識の反応を引き出した結果である。これらを施術に用いており、平氏は千葉で施術家としても、活動しており、筆者も東京へ出張に行った際に体験しているが、痛くするけど、本当にスッキリでき、身体が軽くなるので、もし、ご興味があれば、施術を受けに行って欲しいと思う。
そして最後に語ったのは、柳生心眼流などでも、なんとなくでしか見えない、骨がズレたら力は出ない。1mmでもズレたら力が出ない物であると説いた。そして治す際も骨を動かせないと治せない。

呼吸においても、3の動作が人間の限界である、それらの3の動作もプロ格闘家などが出来る動きであり、常人では2の動作が限界であり、例えば柔道でも一、二、三で投げ、他のスポーツでも3の動作でアクションを起こすのが通常である。
平氏が沖縄で空手の稽古を見た際も、稽古で声を出さず、鼻で息を吸い3の動作を行っており、この3の動作を3拍子として動けるのがプロ格闘家で、身体も強くチャンピオンにもなれる。普通の人にはそれが出来ない。そこは特殊な世界と言えるだろう。
それらから学んだのは、自分の無意識が凄く力が出る事である。人間は自身が一番良い状態になる動作をしており、それらに気をお腹に入れる事で気力が出ると説いた。
武術は身体に良い力が出り、それら先人たちが自然の中で共生した知恵が活きる筈である。
最後に平氏が見せたジャッキーチェンの様な動きであるが、まず常人どころかプロにも反応が難しい動きを見せた、それらも腰を使って動いており、身体にも良いと語った。
空手での3拍子は内側を鍛える動作であり、空手を学んだ先人たちから得た経験や知識をセミナーで伝えたいと平氏は語り、それらは、社会に出てから両親や教師が言った言葉の意味を、大人になってから理解出来たと言うのは、多くの人に分かると思われる。それらと同じ事であり、先人たちの言葉から本質を学ぶ事が重要であると平氏は説いていた。
素早く頭に出す作業、身体の使い方、奥を見る。日常で動く呼吸、全てを3拍子で使う。ゆっくりでは無意識が感じられる何も感じない動作が出来る、命を支えるのは気であると説いた。これらが今回のセミナー参加者が学ぶ事が出来たのは、大いに意義があると言えるだろう。

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