2025年4月29日DEEP☆KICK ZERO 20レポート

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■主催:DEEP☆KICK実行委員会
■名称:DEEP☆KICK ZERO 20
■日時:2025年4月29日(火・祝)
■会場:176box
■住所:大阪府豊中市庄内東町5丁目7-25

記事:三野龍生、写真:川谷菜緒

4月29日(火・祝)豊中市・176BOXにて2部開催の内第1部『DEEP☆KICK ZERO 20』が行われると、大会ではアマチュアファイトから東西対抗戦で多いな盛り上がりを見せる。そしてセミファイナルでは吉岡龍輝が日韓戦を制すとメインイベントではDEEP☆KICK QUEEN -46kg初代王座決定トーナメントAブロック決勝を百花が完封、一足先にQUEEN初代王座に王手をかけた。また本戦の中では金剛駿選手の引退エキシビジョン、そしてセレモニーを開催など変わらずの大盛況で大会を締めくくった。

メインイベント DEEP☆KICK QUEEN -46kg初代王座決定トーナメント Aブロック決勝 2分3R 延長1R

〇百花(魁塾)
×山﨑愛琉(TEAM TEPPEN)
判定3-0(30-26、30-28、30-26)
※山崎に減点1有り
※百花がQUEEN -46kg初代王座決定トーナメント決勝に進出する。

今年2月より始まったDEEP☆KICK QUEEN -46kg初代王者を決めるトーナメントのAブロックの決勝戦。本来この試合は互いに準決勝を勝ち抜いた百花(魁塾)と花田麻衣(GROUND CORE)が対戦する予定だったが花田が練習による怪我でドクターストップ、代役としてBブロックに出場するも桃花・シンデレラ(山口道場)に判定負けを喫した山﨑愛琉(TEAM TEPPEN)が急遽出場となった経緯がある。そして試合前には花田がリング場に上がり挨拶、練習後に急性硬膜下血腫と判断されたことを明かし、大会関係者、そして対戦する予定だった百花に謝罪し女子ベルトを懸けた戦いの更なる盛り上がりを観客たちに呼びかけた。急遽決まった試合ともあって山崎は前日計量にて契約体重をオーバー、両陣営と主催の協議の元減点1が与えられることとなった。
果たして1R、百花は回転の速いパンチ連打を主体にどんどんと踏み込んでいく。中でもボディへの打ち分けにストレートと右フックと威力の見えるパンチを果敢に放り込んでいく。サウスポーに構える山崎は前蹴りにロー・右フックで入り際を狙っていくが下がらされる場面が続いてく、1Rは百花のラウンドだ。
続く2R、開始早々から百花はジャンピングパンチにフック・ツーの連打からハイキックと攻め手を増やしながら圧をかけていく。山崎も前足にローを集めながらワンツーに前蹴りと1Rよりアグレッシブに放っていくがアグレッシブさでは百花が上、2Rも終始百花が圧をかける形となると途中判定では3者共に百花を支持する(20-19×1名、20-18×2名)。
最終ラウンド、なんとか状況を打破したい山崎だったがパンチを振るいながら距離を詰めてくる百花にやりずらさを隠せない、ラウンド終盤には打ち合いになる場面も増えるがそこでも百花のヒットが目立つ形となり試合終了。判定は1名が30-28、2名が30-26と正に完封と言える内容で百花が判定勝利、6月に行われる王座決定戦へ一足先に進出を決めた。
試合後、百花はマイクを握ると「相手選手が急遽変わったんですけど、それは対戦を受けてくださった山崎選手も一緒で、みんながベルトが欲しくて一生懸命好きなことも我慢して格闘技に力を注いで練習している気持ちは一緒だと思うので、このまま勝ち続けてベルトを巻いてDEEP☆KICKの王者は最強なんだぞって証明できるように私がベルトを絶対に巻くので、応援よろしくお願いします」と語った。今試合でプロ戦績51戦となった女子格闘技界が誇るベテランファイター・百花、続く王座決定戦を勝利し悲願のベルト戴冠となるか。

セミファイナル DEEP☆KICK-63kg契約 3分3R

〇吉岡龍輝(及川道場)
×ソ・ジミョン(RAON GYM)
判定3-0(30-28、30-29、30-28)

セミファイナルではDEEP☆KICK-63kg契約にて日韓戦が開催。DEEP☆KICK-63kg第7代王者である吉岡龍輝(及川道場)が韓国の名門ジム・RAON GYMからの刺客ソ・ジミョン(RAON GYM)を迎え撃つ。ジミョンは韓国のキックボクシング団体「KTK」の元64kg級王者とこちらも王者戴冠歴のある猛者、日韓王者対決を制すのは果たして。
1R、互いにサウスポーに構えると吉岡はフェイントを入れながらジャブにローで出方を伺っていき隙があるや必殺の”魔の左”と呼ばれる左ストレートをねじ込む。ボディフックも有効だ、ラウンド中盤からは上下に打ち分けながら攻勢を狙う。対するジミョンはガードを固めながらかカーフにカウンターのフックを狙っていく。吉岡のボディやストレートがヒットする場面が多く見られたが流石タフな戦士の多い韓国選手、被弾は許すもダメージを見せない、1Rは吉岡が優勢。
続く2Rも吉岡は攻め手を緩めない、ジャブとローでタイミングを計りながらワンツーに顔面前蹴りと攻め入る。ジミョンは1R同様にガードを固めながらワンツーに右フック、そこから近い距離での攻防を狙っていくが中々ヒットは奪えていない印象、2R終了時点でのオープンスコアは2名が20-19、1名が20-18で吉岡を支持。
3R、ジミョンはここでもガードを固めながら圧をかけていく、近い距離での攻防を増えジミョンの右フックにストレート、カーフを中心にしたヒットも増えたがそれでも吉岡の手数には劣る、そのまま試合は終了し結果は3-0で吉岡が判定勝利、日韓王者対決を制した。
試合後、吉岡はマイクを握ると「今回、プロになって初の国際線でしたが、僕はもっともっと上を目指していて、こんな内容じゃだめだと思うので、DEEP☆KICKチャンピオンとしてもっと強くなって帰ってきます」と語った。12月の戴冠以降も連勝を伸ばしている吉岡、饒舌に未来を語る吉岡のここからのサクセスストーリーにも期待してほしい。

金剛駿 引退エキシビジョンマッチ 2分2R

-金剛駿(Reborn kickboxing gym)
-TETSU(月心会チーム侍) / 野田蒼(月心会チーム侍)
※エキシビジョンのため判定無し

DEEP☆KICKを主戦場に正に倒すか倒されるかというド付き合いを幾度となく披露してきた金剛駿(Reborn kickboxing gym)が引退を表明。DEEP☆KICK実行委員会では金剛の数々の雄姿を称え引退エキシビジョンマッチの開催を決定、対戦相手として名乗りを上げたのはTETSU(月心会チーム侍)&野田蒼(月心会チーム侍)の野田兄弟、兄・TETSUは昨年12月にDEEP☆KICK-65kg第6代王者を戴冠、弟・蒼はK-1にRISE・RIZINと様々な舞台で活躍しており何より兄弟共に今格闘技界で話題沸騰中の「BreakingDown」に出場を果たしており実力・知名度共にこれからが更に期待される2名が金剛と拳を交えた。
1Rに登場するのは弟の蒼、普段-53kgを中心に活躍している選手なだけに鋭く早い攻防を披露。開始早々からワンツーで踏み込んでくる金剛に左ミドルにフックとヒットさせていく。エキシビジョンマッチと言えど金剛のパンチは驚異、被弾が命取りともいえるような金剛の攻勢を蒼はスルスルと避けながらジャブにローと合わせていく。後半には左ミドルをこれでもかと放っていく蒼、金剛はフックを中心に放っていき第1Rを終えた。
続く2Rは兄のTETSUが登場、すると1Rの速い攻防とは打って変わってTETSUは開始直後からノーガードで金剛を挑発すると金剛もこれに呼応、早く互いにノーガードでの打ち合いを披露する。金剛が少しでも手を緩めるとTETSUは速い連打を放ちながらもっと打ってこいとアピール、決してガードすることはなく金剛のパンチを受けていく。残り時間30秒の頃にはTETSUがリング中央を指さし足を止めて打ち合うぞとアピール、もちろん金剛も引くことなくリング中央で再び打ち合う。疲れから金剛は手が止まる場面もあるがそれでも最後の最後まで互いにパンチで打ち合い試合終了、最後には金剛駿・野田兄弟全員で観客たちに手を上げた。
試合後、蒼はマイクで「BreakingDownから来た野田蒼です、今回は駿君の引退試合ということで僕がプロデビュー戦をやらせてもらったDEEP☆KICKに上がらせてもらったんですけど、やっぱり熱があって面白かったので良ければまたDEEP☆KICK読んでください、駿君引退お疲れ様です!」と語ると、続くTETSUは「BreakingDownに行って(計量を)失敗してしまったTETSUです、その節は本当にすいませんでした」とリング場での謝罪から始めると「駿君の引退試合、最後の相手に選んでいただいてありがとうございます、引退お疲れ様でした!引退してもまだまだ駿君と頑張っていきたいのでこれからもよろしくお願いします」と締めくくった。
その後、引退セレモニーが開かれ記念動画が流されると、DEEP☆KICK実行委員長・林裕人から記念パネルの贈呈を始め各代表からの記念品、そしてファン達からの花束を受け取っていくと、最後は金剛駿の母親より花束が贈られた。その後、金剛はマイクを握り引退セレモニーを開いてくれたことに感謝を述べると、「僕は19歳で格闘技を始め今30歳を節目に引退することとなりました。ハッキリと、幸せな10年間でした。19歳で格闘技を始めた時は遅いとか言われましたけど、一番向いてなくて、ハマったのが格闘技でここまでやってこれました。勝ち越すことは出来なかったですが勝っても負けても倒すか倒されるかの試合で皆様の心に焼き付いたかなと思っています。色々人生苦しいこともあると思いますが、周りを見たら仲間が絶対いるので、僕も皆様も頑張っていきましょう!」と語り締めくくった。
そして引退の10カウントゴングを聞いた金剛は大粒の涙をこぼしながらも四方に、そしてリングに礼をし会場を後にした。最終プロ戦績は21戦10勝11敗8KO、10年間倒し倒されという迫力満点のド付き合いを披露しながら常に会場を盛り上げてきた金剛。彼が率いるReborn kickboxing gymより、金剛の後継ともいえる選手がDEEP☆KICKの地に送り込まれてくるのを楽しみに待ちたいと思う。

第2試合 DEEP☆KICK-55kg契約 3分3R

〇虎太朗(キックボクシングジム3K)
×山﨑天輔(VALIENTE)
判定3-0(30-28、30-27、30-28)
※山﨑天輔に3Rダウン×1有り
※3R1分29秒に山﨑天輔が虎太朗の偶発的なローブローを被弾、回復をまったが続行不可能とレフェリー・ドクターが判断、3R1分29秒までの判定となる。

DEEP☆KICK-55kg7位にランクインしている山﨑天輔(VALIENTE)と虎太朗(キックボクシングジム3K)の1戦。試合は1Rから長身の山崎がリング中央に陣取りローにミドル・前蹴りと蹴りを走らせる。虎太朗はリングを周りこちらも左右ローを放ちながら冷静に出方を伺っていく。中で山崎は多彩な蹴りからパンチを、虎太朗は中に入り近畿寄りでのパンチ連打を狙っている印象か。続く2R、再びリング中央に陣取り蹴りを放ちながら圧をかける山崎、虎太朗は蹴りに対処しながら踏み込むタイミングを狙う。ラウンド全体では山崎が蹴りを主体に手数で勝るが、近距離でパンチの打ち合いになった際には虎太朗のヒットが印象に残る、2R終了時点でのオープンスコアは2名が20-20でイーブン、1名が20-19で虎太朗を支持する。
運命の3R、このラウンドが勝負が決まるだけあってゴングと同時に互いに手数を増やしアグレッシブに攻める。2Rとは打って変わってパンチを主体に圧をかけていく山崎、虎太朗は下がりながらも冷静に打ち合っていく最中、山崎の膝に合わせた虎太朗の右ストレートがクリーンヒットし虎太朗がダウンを奪取する。ダメージは軽いか、山崎はダウンを取り返す言わんばかりにパンチの連打を放っていくが、ここで山崎が偶発的なローブローを被弾。回復を待ったがレフェリー・ドクターが続行不可能と判断し試合終了。DEEP☆KICK公式ルールに則り3R1分29秒までの判定が行われ、3Rにダウンを奪った虎太朗が判定勝利を収めた。ダウンを奪っての判定勝利とは言え虎太朗に笑顔はない、次こそは笑顔の勝利を飾れるか。

第1試合 DEEP☆KICK-60kg契約 3分3R

〇山口丈瑠(パラエストラ東大阪)
×森巧光(REVOLT)
判定3-0(30-28、29-28、30-28)

DEEP☆KICK-60kg契約の1戦、プロ2戦目で初勝利を狙う山口丈瑠(パラエストラ森ノ宮)と福岡を拠点に活躍するREVOLTからの刺客・プロ6戦目の森巧光(REVOLT)が激突。1R、パンチの連打で前に打ち出てくる森に山口はガードを堅めブロックすると返しのパンチの中にカーフを混ぜていく。お構いなしに森は左右のフックにワンツーとパンチ主体で前に踏み込んでいくも山口はガード、カーフと着実に当てていく。2Rになると山口は手数を増やし、前蹴りにワンツーを放ちながらカーフと繋いでいく。森は止まらず圧をかけながらパンチ連打に繋いでいくが山口のカーフで森野足が流れる場面が増えていく、このラウンドは山口のラウンドだろう。2R終了時点でのオープンスコアは2名が20-19で山口を支持(1名が19-19でイーブン)。
3R、後がない森は開始からどんどんとジャブ・ストレートのパンチ連打で攻め込む。しかし山口はこれを着実にガードしながらストレートに飛び膝蹴り、そしてカーフキックをここでも着実にヒットを稼ぐ。なんとか状況を変えたい森だったが山口の堅いガードは破れず、逆に返しのストレートにフックと被弾してしまい試合終了。判定は3者共に山口を支持し判定勝利、山口が嬉しいプロ初勝利を飾った。

NEXT☆LEVEL提供試合

OPイベント、アマチュアファイトでは4戦が開催。内3試合では東京を中心にスポットが当てられるべき眠れる才能Xと、未知なる可能性Xの発掘を目指し開催している「XSTREAM1」と大阪を中心に開催しているアマチュアキックボクシングイベント「NEXT☆LEVEL」による東京vs大阪のアマチュア対抗戦が開催。すると-30kgでは鈴木怜(RIKIX三田GONZ)が、-50kgでは鈴木秀馬(エムトーンジム)が、そして締めの-55kgでは吉田光希(TEAM ONE GYM)の東京代表の3名がその実力をいかんなく発揮し見事判定勝利、東西対抗戦はXSTREAM1代表選手が全勝を収める結果となった。

オープニングファイト第4試合 XSTREAM1×NEXT☆LEVEL アマチュア東西対抗戦 -55kg契約 1分30秒2R

×山下洸貴(TEPPEN GYM 大阪/大阪代表)
〇吉田光希(TEAM ONE GYM/東京代表)
判定0-3(19-20、19-20、19-20)

オープニングファイト第3試合 XSTREAM1×NEXT☆LEVEL アマチュア東西対抗戦 -50kg契約 1分30秒2R

×河野文太(直心会/大阪代表)
〇鈴木秀馬(エムトーンジム/東京代表)
判定0-2(19-20、19-19、19-20)

オープニングファイト第2試合 XSTREAM1×NEXT☆LEVEL アマチュア東西対抗戦 -30kg契約 1分30秒2R

×石塚虎之介(一心会/大阪代表)
〇鈴木怜(RIKIX三田GONZ/東京代表)
判定0-3(19-20、18-20、19-20)

オープニングファイト第1試合 -35kg契約 1分30秒2R

×山口浬(パラエストラ森ノ宮)
〇上野晃勢(魁塾 中川道場)
判定0-2(19-20、19-19、19-20)

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